0から生まれる芸術

ご無沙汰でございます。約2か月の間作品制作だったり、構想を練っていたり、旅行にいっていたりしておりましたので、更新がおろそかになっていましたが、また再開したいと思います。

 2か月ほど前から、著作権問題をベースにした作品をつっくている訳なんですけれど、まぁここ数週間前まで世間でも散々話題になった著作権問題ですが、デザインの世界はともかく、現代アートの世界からも何かしらのアプローチをかけられるのではなかろうか、と思っている所存でございます。作品自体はあるコンクールに応募して、現在審査中ですので詳しくは述べられませんが、インターネット上で配布されている「フリー素材」をモチーフにした作品となっています。「フリー素材」はインターネット上で無料配布されている(有料もあり)写真やイラストのことで、配布されているサイトによって規約などは多少異なるものの、その規約を守りさえすれば誰でも使うことの出来る素材です。著作権自体が放棄されているものもあるのですが、殆どの画像は著作権がサイトの管理人もしくは画像の制作者に帰属しています。なぜこのフリー画像を用いて作品を作ろうとしたかというと、「芸術作品におけるオリジナルとはそもそも何なのか?」ということを探求するためです。以前にもこのブログで似たようなことを述べましたが、何をもって似ているか、オリジナルであるか、ということを断言するのはとても難しいことなんです。過去に作られてきた名作と言われている絵画や彫刻も、殆ど全てと言っていいほど、何かしらの手本があったからこそ成立してきたものなのです。また、制作者自身が意識していなくても知らず知らずのうちに誰かしらの作品の影響を受けていたり、「これがオリジナルだ!」と思って作った作品でも誰かの作品の影が垣間見えたり・・・

 ただそれも芸術というややこしい分野においては寧ろ賞賛される傾向があって、模倣やオマージュ、サンプリングなどは既に芸術という領域の中で確固たる地位を築き上げた技法なのですが、僕がやっぱり気になるのは「完全なオリジナルが存在するのか」ということなんです。完全なオリジナルというのはつまるところ「0」、何もないところから新しいものが生まれるということですが、本当にそんなものがあるのでしょうか?人類最古の芸術と言われているラスコーやアルタミラの洞窟壁画も、描かれている対象が動物などの自然物なので、ある意味自然の模倣であるし、芸術以外に目を向けてみても、人類の祖先である原始生命体だって、水が無ければ生まれてこなかったはずです。唯一、宇宙の起源であるとされるビッグバンは「無」から生まれたものとされていますが、それも正確ではないでしょう。

 少なくとも僕の考えでは、芸術には完全なオリジナルは存在しないということになるのですが、今ないからと言ってこれからも生まれてこないとは限りません。もしかしたら予想だに出来ないことが起こって0から生まれる作品もあるかもしれないし、ただ僕には多分そういう作品は作れないので誰かに期待するしかないという所ですね。



 とにかく制作も一段落したので、また新しい作品に取り掛かっているところです。こうご期待。


 


作品の一部です。作品の審査が終わりましたらまた全て公開させたいと思います。